コンクールについて

ザ・フルート第73号(2005年1月号)
Kansai Fuenokai’s World Vol.15 より
コンクールについて思う
関西笛の会代表:対馬 潤

この頃のフルート界の発展を受けて、ついに関西笛の会でも先日初めてコンクールを開催するに至りました。
参加者もあまり多くなく小中学生・高校生・一般の3部門だけのまだまだ小さい規模ですが、とても感動的で心からやって良かったと思う取り組みとなりました。

それは決して一位になった人が難関を突破してレベルの高い演奏をした、という事ではなく、会場で挑戦者同士が、久しぶりの再会を喜びあったり、情報交換をしたり、お互いを励ましあったりする何気ない光景から来るものでした。

そこからは競争相手である前にまず仲の良い友達なんだ、という意識がとてもよく伝わってきて、来場の多くの人達は心を打たれ、とても暖かい気持ちにさせられたのでした。


笛の会は合宿や沢山の小アンサンブルその他様々な行事を行っています。それらを通じて今まで「仲間意識」を育て「協力」し合い「助け合う」ことをこつこつとやってきた事が土台になっているのだと思います。

コンクール会場を見渡すと、笑顔や歓声が湧き上がり、フルートを持ったはつらつとした姿があちらこちらで輝いていました。

コンクールにおける“競争”と“助け合い”のマトリックス

上図を見てください。縦軸に競争の度合いの高低、横軸にはその反対の概念である助け合いの度合いを高低で表しています。
競争には革新・開拓・さらにIQ(Intelligence Quotient)の概念も含めて考えます。助け合いには愛情・幸福感・優しさ・さらにEQ(Emotional Quotient)も含めます。


どうでしょう?助け合いや愛情の無い競争がいかに殺伐とした心の不安を産み出すかが、とてもよく見えて来るのではないでしょうか。また、競争心の無い助け合いや愛情だけの世界が、いかに生ぬるく、やる気の無い死んだ世界を作ってしまうかも。

コンクールは上手に行えば活性化にとても役立ち、その分野の成長発展を促すものですが、愛情や助け合いに支えられたものでなければならないという事を、この図は表していると思います。

競争の本質は大変エキサイティングなものですから、常に気をつけていないと大暴走しかねません。
これからの世界は、競争のIQより助け合いのEQの方をどのように具体化し成果を上げていくことが出来るかが、コンクールの盛衰の重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

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